1 歯の寿命度(MLT)とは
従来から歯のポケットの深さ、出血の有無 動揺度などの歯周疾患の指標というのはあります。
それとは別に歯牙疾患、つまりむし歯の進行程度の指標というのもあります。
例えば学校検診等で使われるもので
CO・・・むし歯のなりかけの状態、又は疑わしい状態
C1・・・エナメル質に限局するむし歯
C2・・・象牙質に達するむし歯
C3・・・歯髄に達するむし歯
C4・・・歯根まで崩壊している歯 等あります。
しかしこれらは歯周疾患、むし歯のそれぞれ別々の指標であり、大体の患者さんは重複している場合がほとんどです。 その他に従来にはない歯の崩壊度というものが加味されていません。治療後被せ物や詰め物をしていますが 自分の歯の部分はどのくらい残っているかによって歯の寿命度が変わってきます。
そして歯の治療はしたけれども予後はいいのか悪いのか。治療直後は痛みや腫れもなく一見治ったかのように見えても 何年かしたら腫れてくることがあります。再発の詳細の予見は難しいですけれどもある程度の予測は出来、またその時に 再治療が可能かどうかは容易に判断できます。
これらあらゆる指標から総合的に融合させ、その特定の歯があとどのくらいもつのかが分かれば その歯を重点的にプラークコントロールをすることができ、また日常生活においてもその歯をいたわることが できるのでもっと歯の寿命を延ばすことが出来るかと思います。
特に気を付けてもらいたいのが歯周疾患というのは無症状で進行することが多く、 「腫れて歯医者にきました」っと来院されたときにはもうすでに手遅れで 抜歯をせざるを得ない場合があります。
歯周疾患は一夜にして罹患し歯を悪化することはありません。すこしづつ 徐々に徐々に進行するもので歯周疾患の進行のステージを把握しとけば そんなことにはなりません。
そこで現在の歯の状態を総合的に判断をしてあとどのくらい寿命があるか客観的な判断ができる指標となるものを考えました。
2 歯の寿命度の指標
それでは寿命度の指標を考える上で、 「この歯はあと何年持つのか?」という問いに答えられれば非常に便利です。 しかしこれを正確に予測するのは非常に難しいです。
例えば寿命度を 診断した日から体調やホルモンバランス、免疫の度合により また外的要因の プラークコントロールの向上、うがい薬などの服用、咬合性外傷などにより 歯の寿命が伸びたり短くなったりします。
そうするとあと何年持つかの 数字の有効性の信頼性が薄れてしまいます。 それよりは 「あなたの骨年齢は30才です」というふうに人生80年と仮定して0才から80才までの ライフステージを細分化してそれを指標化すればわかりやすいととおもいます。
それを歯に適応して歯牙年齢なるものを考えて歯が生えてから喪失するまでのライフステージを 細分化して指標化しました。 あまり細かいと診断がしづらいこともあり、0〜10までの数値で指標化しました。
10・・・・・むし歯や歯周疾患やその他の要因が一切無い状態。
歯牙が生えた直後に近い状態。段階的に数値が低くなります。
0・・・・・・歯の寿命度はない状態。治療は抜歯しかありません。
分かりやすく言えば特定の歯牙の持ち点が最初10点を与えられ、そこからむし歯や歯周病の程度により また治療歴により持ち点がどんどん下がっていきます。そして最後に歯を喪失する時点で0点になります。
同一人物の口腔内でも歯牙は通常28本ありますが それぞれ歯牙の状態が様々です。 ほとんどが8点だったとしてもある一本は2点しかない場合もあります。それがわかれば その点数の歯牙のみ特別な磨き方を行うことによりより一層寿命が延びることになります。
3 寿命度の名前
歯の寿命度は完全に森田歯科クリニック が独自に考え出した指標であるので わかりやすく
Morita Life stage of Teeth (MLT) と名付けました。
4 MLTの注意事項
- 治療後、治療前とMLTが変わらない場合もございますのでご注意ください。
- レントゲン検査や再検査、歯牙破折等による急変によりMLTが変更することもあります。
- 乳歯は判定できません。永久歯のみです。
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MLTは指標であるので過信しないようにしてください。
あくまで歯の健康度の度合と考えてください。